チョコ煮

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いろんな素材をチョコで煮ます

読了:「インテリジェンス人間論」

友人からお勧めされた本だが、読むのに時間が若干かかった。その理由は後述する。

 

インテリジェンス人間論 (新潮文庫)

インテリジェンス人間論 (新潮文庫)

 

 佐藤優氏の著書は何冊か読んだが、その友人に言わせると「ハズレ」だということで、代わりにこの本を紹介された。とりあえず第一話はぜひ読んでほしいとのこと。

読み終わった今、なぜこの本を友人が勧めたのか分かった気がする。推測としては、友人はたぶん佐藤優のあり方に自分を見出したのではないかというものだ。

表面的に見ると、鈴木氏も私も、程度の差はあれ、社会的復権をとげたように見えるが、私の自己理解では二人の指向は、ほぼ反対を向いているのである。

鈴木氏は、日本の現実と闘い、日々、前進していこうとする。

これに対して、私は、現実との接点を極力少なくして、退却することを考えているのである。

新潮文庫 pp.34-35)

友人は、もはや現実と関わりたくないのだろう。友人の過去・現在についてあれこれ言うのは避けるが、一番よい形になってくれればいいと切に願う。

 

……友人の話はこのくらいにして、以下、この本に関する私の感想を述べる。

なぜか第十一話のゾルゲの話でちょっと読み進めるのが重くなってしまった。なぜだろうと省みるが、最初は日本の近年の政治家たちが登場し、要するに知ってる人の意外な像を見るのが面白かったのに対し、第九話で蓑田胸喜というちょっと昔の人物にスポットが当たる。そこから段々私にとって馴染みのない人物が描かれるようになり、第十一話くらいでなんとなく耐え切れなくなった、というところだろう。

個々を読み終えた後、第十二話でちょっと目先の変わった話になり、再びこの本への興味を取り戻した感がある。

何が言いたいかといえば、「インテリジェンス(諜報)による人間分析」という主題は変わらないのだが、対象が実体験から書籍や伝聞などに移行するとともに時間も現代から離れていく。そこで最初のイメージで読み進めようとすると、違和感を覚えてしまったということにすぎない。私の先入観の問題だ。

読み終えた後、全体を通してみれば、佐藤優という人間を構成してる要素が随所に散りばめられているのが分かる。外交官時代、独房での日々、そしてルーツと思われる神学生時代、それぞれで培われた学問、価値観そして戦略眼。

逆に言えば、この本を読めば佐藤優という人物がどんな人であるか分かるだろう。

この本を紹介してくれた友人へのお礼で締めくくりたいと思う。