チョコ煮

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『危険ドラッグの基礎知識』読後雑感

今回読んだのはこちらです。

 

危険ドラッグの基礎知識 (KS医学・薬学専門書)

危険ドラッグの基礎知識 (KS医学・薬学専門書)

 

 

はじめに

私はKindle版で9インチのタブレットを使って読みましたが、それほど引っかかることなく読めました。

ただ、一部の図は拡大しないとつらいものがありましたが、それらも全図で数ページ分に収まる感じです。

上のAmazonのデータによれば2016年10月発売ということですが、紙面で言及される内容は2015年7月くらいまでのもののようです。

この手の本は賞味期限が早いので、なるべく新しいものでまとまったものという点では、まだ使えるかな、と思います。

紙の本だと144ページということもあり、サクッと読めるかな、と思って臨みましたが、中盤の薬理の話は予備知識がないとしんどいかもしれません。

参考文献も各章末にきっちり書いてあり、専門書と言って問題ない内容だと思います。

裏を返せば結構アカデミックな内容も含むので、興味本位で手を出すと消化不良を起こすかもしれません。

 

内容紹介

章立てとしては

Chapter 1 危険ドラッグとは

Chapter 2 なぜ危険なのか? 薬物依存と脳

Chapter 3 危険ドラッグの種類 その作用機序から見た特徴

Chapter 4 危険ドラッグの法規制と検出法

Chapter 5 薬物依存症に対する治療と乱用防止

となっております。

 

ざっくりとした内容は、

Chapter 1とChapter 3で乱用薬物について、覚醒剤、ヘロイン、大麻などから、合成カンナビノイド、カチノン系化合物などの新しいものまでの紹介。

Chapter 2でドラッグの作用メカニズムを神経伝達物質と受容体で説明(←「中盤の薬理の話」といったのはこの辺)。

Chapter 4では法規制から取り締まり対象となる成分の構造決定や検出、依存性・危険性評価について。

Chapter 5では薬物依存の治療と乱用防止教育について。

となっています。

 

個人的な感想

こういうドラッグの話は精神薬理と裏腹なので、Chapter 2 はそのおさらい。

Chapter 1とChapter 3を一番興味深く読みました。わりと化学構造式も過不足なく出てきていい感じです。

Chapter 4は法規制から始まってガスクロ・液クロ、質量分析、NMRやらイムノアッセイやらの、いわゆる分析化学の内容と、行動薬理学や毒性学での評価の話。要するに「非臨床試験」と括られるものに近い話でした。あとは現場で迅速検出するためのキットの話。そういえばこの章だけ参考文献がないですが、非常に多岐にわたる話であり、あったほうが良かったのでは、と思います。

Chapter 5は言葉こそ出てきませんでしたが、「アッパー」と「ダウナー」の話で、アッパー(「興奮系」)は覚醒剤関連障害の治療、ダウナー(「抑制系」)はアルコールや鎮静薬・睡眠薬抗不安薬関連障害の治療に準じるということ。あとは心理的治療と依存の治療の話と教育の話。依存については、参考文献を見ると、松本俊彦氏によるところが多かったようです。

 

まとめ

ある程度敷居が高いかもしれませんが、広範囲にわたる危険ドラッグの問題をコンパクトにまとめた本として、総じてお勧めできる本だと思いました。

 

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。