読了:「創薬が危ない」
友人に勧められた本があるんですが、こっちを先に読み終えてしまったので、こっちについて書きます。私信ですが、ちゃんと読んでますんで、しばしお待ちください。
私はこれを紙で読みましたが、Kindle版が3/27に出てます。
一文で内容を言えば、
「新規化合物が新薬で見込めないなら、既承認薬をリプロファイルしてリポジショニングしてやればいいじゃない」
という感じ。
はい、わけがわからないと思うので説明を。
今までの創薬では、ざっくり言えば、新しい薬=新規化合物という考え方が主流だった。
しかし、近年、新規化合物で薬になりそうな分子がなかなか見つからなくなってきている。また、新規化合物を薬として販売した場合、治験などでは分からなかった副作用が見つかったりなど、広く使われないと分からないような未知の要素が多い。
この現状を解決しようと編み出したのが、既承認薬を活用するというアイデア。
販売後何年も経つような薬であれば、どんな副作用が出るとか安全性はどうだとかいったことがだいたい分かっているので、リスクが少なく、新たに治験する手間がかなり省ける。
ただ、問題はどの既承認薬が希望通りの薬効を持っているかわからないということ。
これは例えば、元々鎮痛薬として売られている薬がアルツハイマー病に効くか、といったことを調べる作業が必要だということ。
そこで、既承認薬について、元々の主作用の他にどんな作用を持つかを調べることを、「ドラッグ・リプロファイリング」と本書でいっている。
で、アルツハイマー病に効く薬が見つかったら、その効能で薬剤として最適化した後、効能追加として新たに売ることができる。つまり、鎮痛薬を抗アルツハイマー病薬として新たに位置づける。これを「ドラッグ・リポジショニング」と本書でいっている。
この戦略のメリットは上でもちょっと書いたけど、開発や治験の費用を大幅に削れるので、その分薬価を低く設定できること、事前にどんな副作用があるかわかるので、新規化合物に比べて安全性が確立されていることなどがあげられる。
安くて安全な薬を確実に作ることができるという、いいことづくめの素晴らしい手法なのだが、製薬会社が既承認薬を、つまり自分のところの商品を提供してくれるかとか、個人的にはNME(New Molecular Entity)を世に出す技術が進歩しなくならないか心配だったりする。
ただ、最近暗い感じの製薬業界にとっては久々の明るい話題だし、ユーザーにとっても良い話ではあるので、この分野が進歩してくれれば良いな、と思う(小並感
あとはチラシの裏で。
応用情報のほうは絶望的です。
会社が移転して勉強できる時間が激減してしまった、年明けから体調がかなりBADであった、とか言い訳はまああるんですが、所詮言い訳に過ぎませんね。
以上、チラシの裏でした。