第一印象:『宗教学入門』
1月最初の週の後半、若干体調がよろしくない(というか若干希死念慮が重い)状態でした。
という話を診察の時にしたんですが、もう少し死について先人たちが考えてきたことを、例えば哲学なり宗教なりのいろんな考え方を学ぶといいかもね、とアドバイスを受けました。
そこでクリニック近くのちょっと大きめの本屋で物色してみることにしました。
しかし、哲学は難しそうだし、時間がかかりそう。宗教に関しては素人なのでうかつに変な本を買うとマズイと思い、まともそうな宗教の入門書を主に物色。そこで購入したのが下の2冊です。
下の『自死の日本史』はまだ読んでないんですが、上の『宗教学入門』は前半をちょこっと読みました。
死に関して特別ページを割いて書いてあるわけではないのですが、そもそも宗教学とは何か分かりやすく書かれています。
ちょっと引用すると、
一 宗教学は客観的に事実を問題にし主観的な価値判断は避ける。
二 宗教を人間の生活現象の一局面としてとらえる。
三 特定の一宗教ではなくて複数の他宗教を資料として取り扱う。
(p.15)
とあり、特に 一 について
宗教学という学問は、宗教がいかにあるべきかを問うものではなくて、宗教がいかにあったか、またいかにあるかを問うものである
(p.17)
という点で、規範を求める神学・宗学や宗教哲学とは異なり、事実を求めるものだと書いてあります。
文中に、(マックス・ミュラーの)宗教学は「比較宗教」ともよばれる、とある通り、各宗派を横断的に比較しつつ見ることができるという点で、死について各宗教でどのように考えられ、扱われているのか調べるにはうってつけだと思いました。
具体的にこの世ならざる場所・世界についての扱いが出てくるのは、「八 宗教的世界観」の「3 他界観・来世観」辺りっぽいですが、まだそこまでは読み進んでいないです。
ついでに、名前だけは聞いたことがあって積読状態の デュルケーム『自殺論』は、本書によればロバートソン・スミスの『セム族の宗教』によって開拓された「宗教社会学」という流れにあるようです。
まだ狭義の宗教学の枠組みくらいしか読んでませんが、今のところ読みやすくなかなか興味深い一冊だと思います。