A氏の受難
久々の更新となってしまった。
本来はブログに書くべきではないことを、これから書くことにする。もはや医療・福祉に任せるべき問題になった。
ただ、2人の秘密であったことも書いてしまうことを、A氏に対しあらかじめ謝罪する。
私にはもはや、ブログを使って衆目を集め、あわよくば助言や援助を乞うくらいしかできることはない。
A氏と私はデイケアで出会い、卒所後も友人関係にあった。月に何度か会い、会話を楽しんだ。
A氏は心理系のキャリアを持っていた。いろんな人からの相談を受け、悩みを共有していたようだ。私との関係があたかもクライアントとカウンセラーのようになったのは時間の問題ともいえた。
関係が続いている間、お互い境遇がさまざまに変わった。私は主に希死念慮について相談した。A氏は切れ味の良い回答と要領よい状況整理で私の気持ちを軽くしてくれた。
当初は私が相談するばかりだったが、次第にA氏からの相談を受けるようになった。
A氏は出口戦略について私に回答を求めた。
A氏は作業記憶に困難を抱えており、仕事を覚えることがやや難しかった。また、私に回答を求めた、というよりは自分でまとめたことを私に確認するのがもっぱらだった。
A氏は自分の強みを生かした職業に就きたいと切望した。しかし与えられる業務とそれはかなり乖離したものだった。
長く話をするうちに、A氏は家族との間に困難を抱えていることを話すようになった。
職があるうちはマシだが、失業中は事あるごとに両親から説教を何時間も受けているとこぼした。親の期待した進路に進まなかったことをいまだになじられた。
A氏は職をたびたび変えたが、定着することが次第に難しくなっていった。年齢を重ねて転職が難しくなることに焦りを覚えていた。
最近のAIの進歩によって自分の職が奪われるのではないかと、かなり本気で危機感を持っていた。
職場にも家庭にも居場所がない。
A氏は徐々に追い詰められていった。
そして土曜日、A氏から当日に会わないかというアポイントメントが入った。
先客がいたため今日は無理だと答えたが、嫌な予感がした。
A氏は基本的に前もってアポをとる。当日の土壇場で約束を取り付けるのはまれだ。
先客と別れてからA氏に連絡を取った。
A氏は、金曜日は職場に行かず家にも帰っていなかった。これから家に帰るが、両親からは確実に説教されるだろうという。
急患として受診した医師からは、職場の上司は典型的なパワハラ上司であり、休職して自宅療養するよう言われたが、両親がそれを承諾するか不透明である。
もう家にいるのは無理だから一人暮らしをしたい。とりあえずどこか避難できる場所が必要だが当てがあるわけではない。
就労での定着が難しく無職同然であり、生活保護も視野に入れているが、扶養している両親がそれを是とするとは思えない。
話を聞いて私は愕然とし、何も述べることができなかった。
とりあえず土曜日には家に帰り、月曜日に再度受診し保健師と相談するという。
私はどうするのが最善なのだろうか。
そんなこと考えてないで行動に出るべきなのはわかるが、私に何ができるんだろうか。